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設立40周年記念特集2
JAROのテレビCM40年史

はじめに

JAROが1974年に産声を上げて、最初に制作したテレビCMは「振子編」です。とても少ない予算で制作したCMですが、会員放送局が何とかJAROをPRしようと、告知キャンペーンを展開して放送してくれました。JAROの広告は、会員の新聞社、出版社、放送局などが広告枠を割いて、無料で掲載・放送してくれています。こうした協力により、徐々に相談件数や会員数も増えていったのです。


40年間に制作したCMは36編。その中には、「JAROって何じゃろ」「JAROに相談したらどうじゃろ」などのコピーも生まれました。時に行政機関や別の団体と間違われることもあり、JAROの活動の認知を高めるためにナレーションにも工夫を凝らしてきました。

今回はそんなJAROのPR活動を、テレビCMを中心にご紹介します。

1974~1977年

最初のCMは「振子編」

1974年10月の社団法人設立まで駆け足でやってきましたが、設立後も会員社を増やしたり、広告を審査する委員会を軌道に乗せたり、さまざまな課題がありました。その1つがJAROのPRです。広告の苦情を受け付けるためには組織や窓口を告知しなければならず、PRも喫緊の課題でした。翌1975年に日本語・英語の各種パンフレットなどとともに、テレビCMなどの広告も制作しました。


1975年 「振子編」

JARO設立後、初めてのCMは5つの振り子を使って広告の伝わり方を表現した「振子編」。5つの振り子玉が出てきて、「良い広告を正しく伝えたい。しかし、悪い広告はなくしたいのです。広告について苦情やお問い合わせは、ご遠慮なくJAROまで」と説明するシンプルなもの。

初めてのテレビCMは、5つの振り子玉を使って広告の伝わり方を表現した「振子編」で、4月21日の「放送広告の日」に合わせて制作しました。JAROのPRを会員各社にお願いすると、全国のテレビ47社、ラジオ33社が空き時間を利用してキャンペーンを展開してくれました。

機関誌『JAROレポート』(現在の『REPORT JARO』)には、「おそらくこのような企画は民間放送始まって以来、初めての試みであろう」とあります。これには、日本民間放送連盟の理事会で、各放送局に対してJAROに協力する旨の決定があったことが大きかったといえます。


このキャンペーンは大きな効果を上げました。予想以上の各社の協力を得てテレビCMは連日流れ、JARO事務局調べで、テレビ421本(媒体社への放送本数調査、回答率51%)、ラジオ280本(同24%)に上りました。

この直後から苦情・問い合わせの件数も急激に増えています。各社とも、4月のCM枠が混み合う時期にもかかわらず、19~22時の野球中継や朝のワイドショーなど、視聴率の高い時間帯を割いて放送してくれました。


「振子編」はNHKでも流れました。朝の情報番組「スタジオ102」で、「広告110番、日本広告審査機構の1年」と題して1975年10月16日にJAROの特集が放送されたのです。設立1周年になるのに、JAROの知名度がなかなか上がらないことに頭を痛めていた事務局でしたが、放送と同時にJAROの5本の電話は鳴りっぱなしとなり、新聞・雑誌の編集者から「テレビを見たが取材したい」との申し入れが相次ぎました。

JAROのキャラクター

1976年「魚釣り編」

魚釣り禁止区域で釣りをする人にJAROのキャラクターである保安官、Mr.JAROの目が光るという内容で、森田公一とトップギャランがウェスタン調のメロディーに乗せて、「JAROは広告の番人です」と歌う。

2作目となるCMは、1976年4月の「放送広告の日」に合わせて制作した「魚釣り編」です。JAROのキャラクターMr.JAROが出てくるものですが、残念なことに、このCMは動画が事務局に保管されておらず、残っているのはモノクロ写真のみ。


このキャラクターは1年前、中国新聞が1ページを割いて掲載してくれたJAROの紹介記事に使われたもので、作者は二科会のメンバーという同社の開発部次長さん。同社と作者のご好意でJAROのキャラクターとして使えることになったのです。キャラクターの名前は『JAROレポート』の誌面で募集して、「Mr.JARO」に決まりました。


このCMが放送されたころに寄せられたのは、小学校の先生からの問い合わせ。

『JAROレポート』によれば、「子どもたちから、テレビでやっているJAROというところのコマーシャルは何を売っているの?と聞かれた。JAROについて教えてほしい」というもので、「事務局担当者は、子どもたちにとっては分からなかったかなあ?と反省」と書かれています。

徐々に認知度も上がっていたJAROですが、名前は知られても役割や活動内容を理解してもらうのは、まだまだといったところです。