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設立40周年記念特集2
JAROのテレビCM40年史

1978~1989年

4月だけ流れるJAROのCM

1978年「電話編」

電話が鳴り、担当者が電話に出ると、相談者が「あのー、広告のことなんですが・・・」と相談する。ナレーションは「広告を消費者とともに見守るJARO。広告の苦情・問い合わせはJAROまでどうぞ」と苦情を寄せてもらうよう呼び掛けるストレートな表現。

4月の恒例となった「放送広告の日」(4月21日)に合わせたJAROのPR。1978年もこの日を中心に民放各社の協力でJAROの新しいCMが放送されました。4作目は「電話編」です。


実は、2014年現在使用しているCMも、タイトルが「電話編」です。俳優の藤岡弘、さんが「はい、JAROです」と電話に出る内容で、2013年9月から放送しているのですが、当時を知らないスタッフたちが、制作時にうっかり同じタイトルを付けてしまったのです。2013年版の「電話編」に出てくるのはプッシュ式の四角い電話機ですが、1978年版の「電話編」はクリーム色のものと、ダイヤル式の赤い公衆電話の少し懐かしいもの。


この「電話編」には「消費者とともに見守る」というナレーションが出てきます。JAROに寄せられる相談の中には、JAROを行政機関と誤解している人もいますが、JAROは問題のある広告を排除する強制力や取り締まる権限はなく、あくまで民間の自主規制団体です。15秒や30秒のテレビCMでそうした理解を広めるのは難しいところですが、「消費者とともに見守る」という表現は、制作者らがいろいろと知恵を絞った表現の1つです。


現在、JAROのCMは1年を通じて流れていますが、設立直後はJAROから「放送広告の日」がある4月に、月間を通じての放送を依頼していました。しかし、放送局側から年間を通して放送してもよいとの連絡を受け、この「電話編」以後、恒常的な放送となりました。

「JAROって何じゃろ」登場

1984年「小鳥の歌編」

「皆さんの広告です」と始まり、「分かりやすくて 見やすくて 嘘がなくて 大げさでなくて」と女性が歌い、「JAROって何じゃろ」という質問に、「広告の苦情お問い合わせを受け付けるところです」と答える内容。

石油ショックのピークとなった1980年は「文字アニメ編」を制作しました。ここからアニメが6編続きます。


翌1981年の「森の動物たち編」は、JAROでは初めてとなるサウンドロゴが使われました。ナレーションは「JAROはより良い広告を願っています」というもので、これ以後のCMにたびたび出てくる「より良い広告」という表現が、初めて登場しました。


苦情・問い合わせの件数は徐々に増えていたものの、4年連続で1,100件台と足踏み状態でした。そこで、10周年となるこの年、広報・宣伝を担当するPR部会ではインパクトのあるコピーの使用を検討しました。

選ばれたのは「JAROって何じゃろ」。幾つかのコピー案の中から、部会員の1人が「親しみやすい」と強く推して決まりました。


1984年に制作されたCMは「小鳥の歌編」で、電線にとまった4羽のうちの1羽が、大きくなったり正体不明のものになったり、次々変身してしまいます。そこに女性の声で、「分かりやすくて 見やすくて 嘘がなくて」と歌われます。そして、「JAROって何じゃろ」のコピー。


このコピーの効果は大きく、いまだにJAROといえばこのコピーを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。JAROの相談窓口には、「JAROって何じゃろ」と言って切れるいたずら電話が何度もかかり、子どもたちにもしっかりアピールできたようです。

1985年「白雪姫編」

王妃が「鏡よ鏡。私の顔を映しておくれ」と鏡に尋ねると、「広告は社会の鏡。うそ、おおげさ、まぎらわしい。そんな広告ありませんか」とナレーションが入り、鏡の中の王妃が若くなったり、化粧が濃くなったり、くちばしが生えたりする。

広告の苦情を受け付けるところ

多くの方に記憶された「JAROって何じゃろ」のコピーですが、実際に使ったのは、「小鳥の歌編」と翌年制作した「白雪姫編」の2作品のみ。後者は描画アニメが続いた後の1985年にクレイアニメで制作しました。白雪姫や継母である王妃、小人たちが登場するもので、小人たちが「JAROって何じゃろ」と聞くと、白雪姫が「JAROは広告の苦情・お問い合わせを受け付けるところよ」と答えます。


このCMはグリム童話「白雪姫」のパロディーですが、ディズニー作品のイメージを損なわずに白雪姫の顔をいかに作るかがポイントでした。また、うそ・大げさ・まぎらわしいという3つのテーマをどのように映像表現するか、スタッフの間でアイディアを出し合いました。