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価格を間違えて掲載したら、その価格で売らなければならないの?

2023年5月31日掲載

  • サイトに商品を掲載する際、価格を1桁間違えて、安く表示してしまいました。申し込みをされたお客さまには広告が間違っていた旨を説明しお詫びしましたが、納得してもらえない場合、この価格で売らなければならないのでしょうか。

  • 売り主が誤表示価格で販売義務を負わない場合は、(1)当該売買契約が成立していなかった場合、(2)売買契約は成立していたが、誤表示が錯誤による意思表示に該当し、売買契約を取り消した場合、です。

    (1)当該売買契約が成立していなかった場合

     契約は「申し込み」と「承諾」によって成立しますが、店側が顧客からの申し込みに対し、「その価格で売る」という「承諾」をしていないのであれば契約が成立しておらず、法的には履行義務が生じません。
     気を付けなければならないのは、ネット通販で顧客が申し込みをすると、確認のためのメールがサーバーから自動送信されますが、これが承諾と見なされないようにすることです。経済産業省の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(準則)によれば、例えば、「本メールは受信確認メールであり、承諾通知ではありません。在庫を確認の上、受注が可能な場合には改めて正式な承諾通知をお送りします」などと記載しておけば、「承諾通知に該当しないと考えられる」としています。メール冒頭に、承諾ではない旨の表示を行った方がよいでしょう。

    (2)誤表示が錯誤による意思表示に該当し、売買契約を取り消した場合

     売り主に重過失がある場合には取り消すことはできません。価格誤表示が重過失かどうかを考えると、「準則」によれば、「一般に電子商取引において価格は最も重要な要素であるから、慎重に入力・チェックを行うことが求められるところ、通常の注意を行っても価格誤表示を回避することができなかったという場合は考えにくい」としています。従って、多くの場合は錯誤の規定は適用できません。

     ここにいう「重大な過失がなかったと認められる」限定的なケースとは、申し込みをした顧客が表示価格が誤表示であることを認識していた場合です。
     従って、錯誤の規定が適用できるケースは限定的で、契約が成立していれば、多くの場合、法的には履行しなければならないことになります。
     なお、広告・表示上は景品表示法の不当表示となるおそれがあります。

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