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2022年7月7日お知らせ消費者向け

2021年度の審査状況(HTML版)

2021年度の審査概況

◇ [総受付件数] 過去最多となった前年度より減少するも、前々年度比では110.3%
◇ [業種別件数] 上位は「化粧品」「医薬部外品」、例年上位の「健康食品」が大幅減
◇ [媒体別件数] 上位は「ネット」「テレビ」で変わらず 「ラジオ」が増加
◇ [内容別件数] 表現関連の不快感が増加
◇ [見解] 多様な業種、媒体に30件の見解発信

<2021年度のトピックス>
・不適切なNo.1表示
・定期購入商法 新たな悪質事例も

2021年度は総受付件数が前年度比91.2%、苦情が89.3%と減少した。これは前年度の苦情が急増していたことから前年度比1割減ほどとなったが、2019年度比では約1割増加しており、中期的に見れば増加傾向である。コロナ下で広告・表示や苦情の状況に生じた変化が、21年度には落ち着いた項目もあれば、継続している項目もあった。

総受付件数:過去最多となった前年度より減少も、前々年度比は110.3%

2021年度(2021年4月~2022年3月、以下「21年度」と表示)に受け付けた総件数は13,771件(前年度比91.2%)で、1,329件の減少となった。内訳は「苦情」10,319件(同89.3%)、広告への好感である「称賛」は11件(同50.0%)、広告の制作や審査に関する相談である「照会」は2,668件(105.9%)、その他「JARO関連」118件(97.5%)、「広告以外」655件(74.6%)となった。19年度と比較すると総件数は110.3%、苦情が110.7%であり、増加傾向は変わらなかった。「照会」については21年度も伸びており、3年連続の増加となった。

 苦情を受付経路別に見ると、「オンライン」8,244件(構成比79.9%)、「電話・FAX等」2,075件(同20.1%)となり、「オンライン」が約8割を占めた。「オンライン」経由の苦情はコロナ下で大きく伸び、苦情に占める「オンライン」の割合は18年度64.6%、19年度72.1%、20年度78.9%と利用が広がっている。
※「オンライン」はJAROサイト上の「広告みんなの声送信フォーム」からのもの、「電話・FAX等」は電話、FAX、郵便によるもの。

業種別:上位は「化粧品」「医薬部外品」、例年上位の「健康食品」が大幅に減

苦情の業種別では、上位が「化粧品」778件、「医薬部外品」503件、「オンラインゲーム」「携帯電話サービス」各474件となった。

 「化粧品」は20年度に2.5倍と急増し、21年度も高水準が続いている。インターネット上の広告・表示を中心に、「シミが消える表現が誇大」「使用前後写真が明らかな加工」、「鼻の角栓の描写が不快」などが寄せられた。「医薬部外品」も20年度に3倍と急増し今期も10%余り増加した。育毛剤の広告で「短期間で効果があるような表現が誇大」、口腔ケア商品で「口腔内の表現が不快」、殺虫剤で「害虫の表現が不快」といった苦情が多数寄せられた。

 「オンラインゲーム」は20年度に162.4%と伸びていたため21年度は1割減となったが、依然として苦情は多い。苦情内容は、「広告と実際のゲーム内容が異なる」、広告の表現が「卑わい」「グロテスク」といった従来と同様のものが寄せられたが、21年度はこれに加え、表現が「戦争を想起させ不快」という内容もあった。

 一方で例年上位にあった「健康食品」が前年度の4割ほどに大きく減少した。これまでアフィリエイトプログラムによる不適切な表示が増加していたことに対し、各種法令の改正、消費者庁の検討会の実施、各インターネット媒体社の取り組み強化などの対応が進んだことに加え、2020年7月、2021年3月に広告会社社員やアフィリエイターなどが逮捕される事件があったことも影響したものと見られる。

 上記のほか、高価買い取りをうたう広告等への苦情が近年増加しており、「買取・売買」は298件、前年度比127.9%となった。近年、増加傾向だったが、コロナ下での不用品買い取り需要の高まりから広告出稿も増え、苦情がさらに増える形となった。媒体別に見ると20年度は「テレビ」を中心に増加したが、21年度は「ラジオ」の増加が目立った。(参考:「買取・売買媒体別苦情件数」グラフ)

 20年度から、インターネット上の鼻の角栓の画像に不快感を訴える声が多数寄せられ、同年度の「化粧品」苦情件数は前年度比248.5%と急増した。21年度はこれに加え、「化粧品」や「医薬部外品」の広告で、目の下のたるみやシミ、口腔内の着色汚れなどの表現、「電子書籍・ビデオ・音楽配信」で動物の残虐な画像に対して不快感を訴える声が多数寄せられた。こうした商品・サービスへの直接的な訴求ではない、不快な表現を使ってクリックまたはタップさせようとする広告・表示が見られるようになった。

 コロナ関連の苦情については21年度に555件寄せられた。20年1月から寄せられはじめ、19年度(20年1月~3月)118件、20年度888件と推移した。21年度には、ワクチン接種を推奨する政府広報をはじめ、マスク、葬儀業、アルコール飲料などが目立った。

媒体別:上位3媒体は変わらず 買取・売買の急増で「ラジオ」が増加

苦情の対象媒体を見ると、「インターネット」4,779件(前年度比86.4%)、「テレビ」4,238件(同90.5%)、「ラジオ」407件(同121.9%)の順となった。19年度に「インターネット」が「テレビ」を上回って以来、上位3媒体は同じ順位が続いている。

 「インターネット」の上位業種は「化粧品」689件、「オンラインゲーム」362件、「医薬部外品」325件、「電子書籍・ビデオ・音楽配信」256件、「健康食品」204件などだった。「電子書籍・ビデオ・音楽配信」の増加は主にコミック配信に関する苦情である。「健康食品」は前述のとおり6割減となったが、特に媒体「インターネット」では7割減と減少幅が大きかった。

 「テレビ」の上位業種は、「携帯電話サービス」345件、「医薬部外品」160件、「生活サービス」138件、「行政」と「健康食品」が各128件となった。「生活サービス」の増加は給湯設備工事のテレビCM表現、「行政」はコロナ関連の政府広報に苦情が多数寄せられたためである。

前年度に比べ減少となった媒体が多い中で「ラジオ」は増加した。上位は「買取・売買」92件(前年度18件)、「相談業務」71件(同67件)、「団体」25件(同25件)、「健康食品」19件(同9件)、「比較サイト」16件(同14件)などで、買い取りに関する広告への苦情が5倍となった。また親子が怒鳴り合うCMが不快という苦情が寄せられ「比較サイト」が5位となった。

 今期も「インターネット」「テレビ」の上位2媒体で8割以上を占めたが、21年度は両媒体とも10%前後減少した。「インターネット」については、不適切な広告が急増していた20年度までの右肩上がりから21年度は大きな減少となった(19年度比では増加)。一方で「テレビ」については、苦情が集まるCMの多寡に応じてその年度の件数も増減するが、近年は緩やかながら増加傾向にある。(参考:「上位2媒体の苦情推移」グラフ)

内容別:表現関連の不快感が増加

苦情は内容面から大別して表示、表現、手法に分類しており、21年度は「表示」5,432件(前年度比81.9%)、「表現」4,172件(同102.4%)、「手法」715件(同83.6%)だった。コロナ下の20年度に急増していた「表示」が今期は減少し、「音・映像」「社会規範」などが増加した。

 「表示」については、コロナ下の20年度に前年度比133.6%、特に「品質・規格等」が196.4%と急増していたが、今期は2割ほどの減少となった。「健康食品」は例年、効能・効果の表示や定期購入契約の不適切な表示に関する苦情が寄せられていたため、これらの大幅な減少に伴い「価格・取引条件等」「品質・規格等」も減少した。増加したものでは、「買取・売買」の「価格・取引条件等」、「相談業務」の「品質・規格等」などが目立った。

 「表現」については前年度に引き続き増加しており、音がうるさい、画像が気持ち悪いといった「音・映像」が2,638件(同116.5%)、行政のワクチン接種の呼び掛け、犯罪シーンを描いた動画配信サービスなどの「社会規範」896件(同111.4%)などが増加した。「手法」については、国からのお知らせと誤認させる法律事務所の広告、プラットフォーム上に表示される化粧品や医薬部外品の広告がオプトアウトしても何度も表示されるといったものなどが目立った。

表示・表現・手法
表示 広告・表示が事実と異なる、誤認を招くといった表示に問題があると訴えるもの。広告規制に違反するものが多い。「品質・規格等」は商品やサービスの品質などに関する苦情であり、「価格・取引条件等」は価格や割引、景品などに関する苦情である。
表現 広告での描写に関するもの。
手法 CMの音量や頻度、広告であることが不明瞭、迷惑な露出方法などに関するもの。

苦情申立者の属性:女性の割合が逓増

苦情申立者を属性で見ると、20年度の苦情増加の反動で多くの属性が減少となり、増加したのは70代以上と60代女性のみだった。70代以上については、「買取・売買」の価格や取引条件に関する苦情が30件を占めたほか、商品名などを連呼するもの、怒鳴り声など音に関するものも増加が目立った。なお、19年度比では多くの年代が増加となっており、特に10代以下、20代、60代、70代以上の伸びが大きかった。受付経路別では「オンライン」では40代が最も多く、「電話・FAX等」では60代が多かった。
 性別で見ると、男性61.3%、女性38.2%、匿名の郵便など「不明」0.4%となった。近年、徐々に女性の割合が増加しており、男女比が従来2対1程度だったものが最近では3対2に近づいている(19年度34.3%、20年度36.8、21年度38.2)。これは「オンライン」の利用増が影響していると思われる。21年度の受付経路別では「オンライン」が男性59.9%、女性40.1%、「電話・FAX等」は男性67.0%、女性30.7%となっており、「オンライン」の方が女性の割合が高いという傾向が続いている。

見解:多様な業種・媒体に30件の見解発信

21年度は厳重警告9件、警告10件、要望10件、助言1件の計30件の見解を発信した。例年、化粧品や健康食品などインターネット上の美容健康商品に関する審議が多くを占めるが、21年度はこれら以外にも医療機関、法律事務所、空気清浄機、インターネット接続サービス、住宅建築など17業種を取り扱い、対象媒体もインターネットのほかチラシ、テレビ、ラジオ、パッケージなど6媒体を扱った(前年度は8業種、3媒体)。
 近年増えていたアフィリエイトプログラムが関わる見解は10件(厳重警告1、2、3、4、5、8、9、警告10、11、19)だった。また、定期購入契約が関わる事例は4件だった(厳重警告3、4、警告10、11)。

2021年度の厳重警告・警告一覧 ( )内は商品・サービス/媒体
≪厳重警告≫
1.摂取するだけで女性ホルモンが急増して豊胸効果が得られるかのように表示した(健康飲料/インターネット〔まとめサイト内のバナー、アフィリエイトサイト、自社通販サイト〕)
2.上記1と同じ事例で、アフィリエイターに対するもの(健康食品/インターネット〔まとめサイト内のバナー、アフィリエイトサイト〕)
3.疾病が改善されるような訴求と分かりにくい定期購入の表示をしたカンナビジオール製品(雑貨品/インターネット〔アフィリエイトサイト、自社通販サイト〕)
4.上記3と同じ事例で、アフィリエイターに対するもの(雑貨品/インターネット〔アフィリエイトサイト〕)
5.短期間で髪が生えるとうたった育毛剤(医薬部外品/通販会社のカタログに同梱したチラシ)
6.短期間で乾燥小じわが伸びると表示されたクリーム(化粧品/通販会社のカタログに同梱したチラシ)
7.しみ・しわに効果があるかのようにうたったイノシシの油(化粧品/インターネット〔通販モール〕)
8.短期間でシワが取れるかのような表示や、ノーベル賞、学会の論文などに言及した化粧品の美容液(インターネット〔ランディングページ、自社通販サイト〕)
9.肝臓や尿酸の数値が改善するかのように表示した健康食品(テレビ〔ケーブルテレビ〕、チラシ、ダイレクトメール)

≪警告≫
10.口臭を除去できるかのようにうたい、この動画をスキップすると二度と割引価格でお試しできないとうたうサプリメント(健康食品/インターネット〔アフィリエイト動画広告、自社通販サイト〕)
11.使用前後で髪が生えたかのような表示をし、注文時になってサプリメントの併用と定期購入契約であることを伝える育毛剤(医薬部外品/テレビ)
12.虫が嫌がる香りや外敵をブロックするなどとうたいながら、虫よけではないと注釈をしているUVスプレー(化粧品/パッケージ)
13.ほうれい線に効果があるかのようにうたった化粧品の美容液や医薬部外品のジェル(チラシ)
14.追加料金なしとうたっていたが実際には2~3回にしかならない全身脱毛のエステティックサロン(インターネット〔自社公式サイト〕)
15.七五三キャンペーンで複数の特典がうたわれていたが、そのうちの幾つかは通常提供しているサービスであり、誤解を招く二重価格表示をしていた(写真スタジオ/インターネット〔自社サイト〕)
16.マッサージ器であるのに歩くための筋力アップができるかのようにうたっていた(医療機器/チラシ〔通信販売の商品に同梱〕)
17.縫製技法やディレクターについて特定の国を記載しているが製造は別の国であり、その原産国表示がウェブサイトで行われていなかった(衣料品/インターネット〔自社サイト〕)
18.1カ月集中コースで3回施術を受けて痩せるかのような表示や体験談を掲載していた(エステティックサロン/チラシ)
19.届出表示を逸脱し、尿酸値をしっかり下げるなどとうたっていた(機能性表示食品/チラシ〔通信販売の商品に同梱〕)

審査結果の定義
【厳重警告】 警告相当の広告または表示であって、問題箇所の数、消費者に誤認を与える程度等により、その不当性が特に高いと認められることから、当該広告または表示を直ちに削除または修正することが必要と認められるもの。
【警告】 広告または表示が、実際のものより著しく優良・有利に表現され、消費者に誤認を与えるもの、または広告・表示関係法令に抵触することが明らかであることから、当該広告または表示の速やかな削除または修正を求めることが必要と認められるもの。
【要望】 広告または表示が、実際のものより著しく優良・有利に表現され広告・表示関係法令に抵触する疑いがあるもの、または消費者の誤認を招くおそれがあることから、当該広告または表示の削除または修正を求めることが必要と認められるもの。
【助言】 広告または表示が、消費者の誤解を招く、または社会的・道義的問題等を有する可能性があるため、修正等の検討を求めることが必要と認められるもの。(従来の「提言」から名称変更)

【2021年度のトピックス】

不適切なNo.1表示

No.1表示に関する苦情は以前から一定数寄せられているが、最近、No.1表示の根拠となる調査が表示と適切に合っていないと思われる事例が散見される。
 例えば、「顧客満足度No.1」などと表示しているが、根拠として示されたオンライン調査の対象者は必ずしも商品購入した人としておらず「○十代の××でお悩みの方」であったり、ブランドやウェブサイトの「イメージ調査」であるなど、広告・表示から消費者が受ける印象とは異なる内容となっている。

 21年度に業務委員会で審議した事例では、厳重警告5、6、警告11にNo.1表示が含まれていた。
厳重警告 5の例
医薬部外品のチラシに含有成分○○により短期間で発毛するかのように表示されており、誇大広告ではないかと苦情が寄せられた。業務委員会で審議した結果、○○が発毛の有効成分であるかのような表示や、発毛効果をうたった体験談と写真などが薬機法に抵触するおそれ、実際の利用者ではない者に対するアンケート調査で発売から短期間で○冠を達成したとの表示は景品表示法に抵触するおそれをそれぞれ指摘し、広告を改善するよう求めた。

 今年1月、日本マーケティング・リサーチ協会が、「非公正な「No.1調査」への抗議状—No.1を謳うために結果ありきの調査を誘導する姿勢に強く抗議をするとともに、市場調査を行う意義についての声明」を公表し、メディアでも取り上げられた。No.1表示をさせるための不適切な調査について広く知られることとなった。5月には同協会が「ランキング広告表示に使用する調査データ開示ガイドライン」「比較広告のための調査実施の手引き」という2つのガイドラインを策定・公表しており、JAROでも周知に協力している。
 なお、6月15日には消費者庁からNo.1表示に関する措置命令が出されている。

定期購入商法 新たな悪質事例も

21年度に寄せられた定期購入に関する苦情の件数は、前年度より減少し259件(前年度298件)となった。これまで「健康食品」が最も多かったが、21年度は「化粧品」が上回った。また、前年度寄せられていたCBD商品は3件と減少した。

 規制強化が進み、以前のように定期購入であることがどこにも表示されていない事例は減ったと思われるが、分かりにくく記載するなど手法を変えて続いている。最近、は次のような新たな事例が見られる。
化粧品のインフィード広告や動画共有サイトの広告に、「初回お得な価格」「定期縛りなし」と書かれているのを見て通販サイトから申し込むと、契約完了時に「ちょっと待って!」などと書かれたページが表示され、「もう一箱もらえます」「特別クーポンでさらに〇%引き」など本契約がよりお得に購入できるかのような表示が出る。「今から5分間」などとカウントダウンが始まり、短い時間の中で選択を迫られて当該キャンペーンに申し込むと、最初の契約では定期購入回数の縛りはなかったのに、新たに提示された契約では複数回の購入条件となっており、総額が数万円になる。定期縛りに関する表示は、カウントダウンのページに記載されているが、「お得」と強調された表示に比べて、非常に分かりにくくなっている。新たな契約に関する表示は契約完了時に画面上に表示されるのみであり、後から確認することが困難となっている。

【参考】2022年5月17日公表
“定期縛りなし”のはずなのに 契約完了時の「ちょっと待って!」から始まる表示にご注意を!!
https://www.jaro.or.jp/news/20220517.html

 消費者庁は増え続ける定期購入商法に対処するため、2020年4月に「インターネット通販における意に反して契約の申込みをさせようとする行為に係るガイドライン」を改正・施行したが、消費者トラブルの件数は増加が続いていた。同庁主催の検討会を経て特定商取引法が改正され、2022年6月1日に施行されたところであり、詐欺的な定期購入への効果が期待される。

【JAROについて】
 名称    公益社団法人日本広告審査機構(JARO) 
 事務局住所 東京都中央区銀座2-16-7 恒産第1ビル 
 理事長   西澤  豊 
 設立    1974年8月28日(社団法人許可1974年10月15日、公益社団法人認定2011年4月1日) 
 会員数   887社(2022年5月現在)